2010年10月の記事

私のいのちは誰のもの

「脳死」と聞いて、あなたはどんな状態を想像しますか?

西村帆花ちゃんは、もうすぐ3歳。
生まれたときからずっと、人工呼吸器をつけています。
生まれてすぐにお医者さんから
脳波は平坦。
 目は光にも反応しないし、耳も聞こえていません。
 今後、目覚めて起き上がることはないでしょう。
 でも、元気に成長していきます。
と、お話しされました。
おとうさんとおかあさんは悩みながら、それでも家族でひとつ屋根の下で暮らしたい、と3人でおうちに帰り、お手伝いしてくれる人たちやお友だちに囲まれて暮らしています。
 
一方で、昨年の7月、「脳死臓器移植法」という制度が改訂されました。
改訂された点は大きくは2つ。
①15歳以下の、②家族の同意のみでの、脳死臓器移植が可能となったのです。
そして今年の7月17日から施行となり、すでに15件、家族の同意のみでの臓器移植が実施されています。(10/17現在)
 
東京勤医会では、毎年春休みと夏休みに「医療連続講座」を開催しています。
医療系を目指す高校生や、医療系学生に向けて、社会や医療制度の矛盾、そして命についてみんなで一緒に考えられたら、とさまざまな講師を迎えてお話をお聞きしています。
今年の春に代々木病院でお話してくれた西村帆花ちゃんのお母さん・理佐さんが、8月21日、はるばる千葉県の東葛病院にお話しに来てくださいました。
…ちょと時間が経ってしまいましたが、ご報告します。
 
※講演内容はコチラから→   20100821honosan.pdf
 
6月には同じ障害をもつおともだち家族とディズニーランドにお泊りに行くなど、おでかけもたくさんするほのちゃんですが、この日はお父さんとおうちでお留守番。
お母さんの理佐さんがおうちを出る時に、ほのちゃんの「ごあいさつ」を録音してきてくれました。
「行ってくるよ~」と呼びかけるお母さんに「う~ん!」とかわいい声でお返事してくれます。
ほのちゃんが生まれて間もない頃は、お母さん自身、「機械で生かされているんじゃないか」と悩んだこともあったと言います。
でも…
「今わかっていることは、
障害がある・ない、何かができる・できないとか、そういうことではなくって、
ただそこに在ること。
肌で感じるぬくもりとか、重み。
帆花のあたたかさに触れて、重みを感じて『私も生きてるんだな』ってことを思うんです。
普通に生きてると、あんまり、『私、生きてる』とか思うことないと思うんですけど、
なんにもしゃべらない帆花を触って『あったかい』とか、抱いて『重い』とか、
そういうことを感じると、私自身も『ああ、今生きてるんだな』と強く感じるんです。
そう思うと、ほのさんのいのちに、私のいのちが照らされている、
あるいは、その帆花にかかわってくださる、皆さんのいのちに、帆花や私が照らされているっていうことを感じます。」

言葉ではなく、ほのちゃんが教えてくれている「いのち」。
西村さんのお話しを聞いて、参加した学生からは、
「自分では一生気づかなかったであろう目線」
「自分のいのちは誰のものかなんて、考えたことなかった」
「いのちは誰かと比べるものではなくて、存在が大切なんだと思いました」
「ほのかちゃんが、声や表情など全身で生きる意志を表現しているのが印象に残った」
などの感想が出ました。

新しい脳死臓器移植法施行の前日、7月16日。
西村さんは、厚生労働省内で行われた「臓器移植法を問い直す市民ネットワーク」主催の記者会見で、以下のように話しています。

「この改正法施行を始まりとして、帆花のようないのちは、
社会的に葬られてしまうばかりか、実際に必要な医療を受けられずに、
生きる権利を奪われることになるのではないかと危惧します。
帆花は帆花の人生を生きており、治るいのちに劣るものではありません。
私たち家族のこの苦しみと、すくすくと育つ帆花のいのちの輝きから、
どうぞ目をそらさないで下さい。
脳の機能を失った子どもも、心臓を患う子どもも、
風邪をひいた子どもも、元気な子どもも、
子どもたちみんなが手をつないで幸せに暮らすことのできる世の中を作ることが、
私たち大人の責任であり、子どもの人権を守ることであると考えます。」
(※全文は西村理佐さんのブログ 「ほのさんのバラ色在宅生活」
 http://honosan.exblog.jp/14205686/からご覧になれます。)

すくすく育つほのちゃんの姿と、西村さん一家の問いかけは、
参加者一人ひとりが「家族」や「いのち」、
そして「生きる」ということについて、
今までとは違った視点で、より深く考えるきっかけとなりました。
 

 

 

病院で「運動会」って...

また思いついてしまった…

10月23日(土)14:00から、代々木病院にて★秋の大運動会★やっちゃいます!!!

入院中の患者さんたちに、できる範囲で体を動かして、みんなで楽しく過ごす時間をもってほしい!
病棟のスタッフの思いつきから始まったこの「運動会」…
車椅子の人や高齢でも、みんなで楽しめる運動会とは…ただいま鋭意準備中です! 
高校生・看護学生の方には、病棟から会場への患者さんの移動の介助や付き添い、会進行のお手伝いなどをお願いします。
ぜひぜひお手伝いに来てね~!!
 
しかし本当に、介護福祉士さんってアイデアが豊富ですねえ!
というか、代々木病院の場合、ただの「祭り好き」…???

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