こんにちは! 看護学生室です。
9月末から10月にかけて、季節外れの台風がやってきたり、急に暑くなったり寒くなったり……
いつのまにか、朝晩は涼しいと感じるような季節になりました。
食欲の秋、芸術の秋、いろいろな表現がありますが、皆さんはどんな「秋」をお過ごしですか?
今回のブログでは、9月28日、9月29日に行なわれた東葛看護専門学校の文化祭の様子をお届けします。
初日は学年ごとに学びの発表を行ないます。
まずは、1年生の発表から早速ご紹介します!
今年4月に入学した1年生。半年間の学びを発表します!
基礎看護技術 移動運動での車椅子ウォッチングで学んだことを発表しました。
「車椅子で生活している方の『自由に移動する権利』が保障されているのか」を知ることを目的として、実際に車椅子で様々なところに出かけ、そこから得た学びです。
普段は何気なく生活している道路や公共交通機関、お店や駅を、車椅子利用者やその介助者の目線で眺めてみると、何が見えてくるでしょうか?
学校の敷地を出て、いきなり難関です。
門前薬局お前の歩道にある電柱と縁石の幅が72センチあり、65センチ幅の車椅子が通るには狭く感じます。
グレーチング(屋外の排水溝などに用いられる格子状の蓋)の段差に前輪がはまってしまったり、
歩道が斜めになっており押す側はブレーキを掛けながらでないとまっすぐに進めない事もありました。
徒歩でたどり着いた先は流山市立中央図書館。1978年に開設された公共施設です。
ホームページによると、図書館の敷地内に車椅子対応駐車場スペースがあるようです。
多目的トイレに入ってみると、入り口が105センチと少し狭く感じます。
手すりも少なく、もう少し多く設置した方が良いのでは? と思いました。
バスに乗車すると、運転手さんがスロープを出してくれます。
しかしこれは学校より事前に連絡を入れてあったため、
運転手が車椅子乗車を承知していたということもあるようです。
車内では乗車口の目の前の座席を2席折り畳み、車椅子を停めるスペースを作ってくれました。
車輪止めをしっかりとはめて、走行中の揺れによる転倒防止に繋がりました。
しかし、カーブを曲がる際は車輪止めがずれたりと、ヒヤッとする場面も。
降車ボタンが車いすに乗った高さで使えるように配置してあり、感心しました。
JRの駅に到着です。視覚障害者用の点字ブロックは、視覚障害者には必要なものですが、
車椅子利用者にとっては進みづらく、タイヤが引っかかったりとなかなか難儀しました。
駅構内のエレベーターはホームの真ん中あたりにあり、車椅子が二台くらい入る広さがあります。
乗る扉と降りる扉が両方あり、前進する動作のみで降りられるものでした。
目的地に行くまでのバス停に進みますが、駅の外のエレベーターがなかなか見つかりません。
案内板の工夫など、対策が必要と感じます。乗り場では、車道と歩道との段差が15センチほどあり、
バス乗り場へ行くのに歩道から出る際、同じ高さの場所を探す必要がありました。
複合商業施設の映画館へ行ってみます。
施設内のエレベーターは車椅子3~4台が入りそうな広さはありますが、
低い位置にある行先ボタンがありません。
フードコートは平日のため空いていましたが、混雑時はスペースに余裕がなさそうです。
カウンターに用意してある調味料や箸にも手が届きません。
購入した品を席に持っていくのも、車椅子利用者一人ではかなり困難であることが分かりました。
映画館では、障害者手帳を持っている方は障害者割引が適応されます。副支配人の方からお話を伺うことが出来ました。
映画館内の座席には、車椅子専用のスペースがあります。しかし、最前列中央部にあり、スクリーンを見上げる形になってしまうので、普通席も併せて購入する方も多いとの事でした。
実際に体験してみると、車椅子で生活している方、またその介助者の方の大変さがよくわかりました。
そして、車椅子が通ることを前提として作られていない道は転倒や脱輪の危険もあることが身を持ってわかりました。
これらを予防するには、
・車椅子専用通路の設備が必要性
・車椅子専用公共交通機関の必要性
・外出時の介助者の増員
・車椅子専用押しボタン式信号機の設置
などが考えられました。
また、車椅子を押す介助者は、立ち上がったり車などに移乗する時の補助が必要になる場合があります。
介助者に何か資格は必要なのかを調べてみることにしました。
「車椅子に移乗し外出する」時は、「身体介護」になるので、初任者研修(患者・利用者の身体に
触れる介助をする際に必要な資格)以上の資格が必要です。
車椅子を押す行為だけでは特に資格は必要ないことが分かりました。
実際にタクシー会社に勤めている方や、車椅子を利用している人にお話を伺うと、
車椅子利用者が一人で乗車を希望する際、運転手が介助できないため乗車を拒否するような事例もあるようです。
そのため、バスやタクシーの運転手が初任者研修の資格取得などを取得することも増加しているようです。
日本の公共交通機関では、運転手や駅員が対応してくれることが多いですが、ヨーロッパでは電車と車輌とホームの段差がない駅や、有名な観光地はバリアフリー専用ルートがあるなど充実していることが分かりました。
さらに、経済的には日本よりも規模が小さいにもかかわらず、バリアフリー施設が充実している国もあることが分かり、日本はどこにお金がいってしまうのかとも考えました。
日本とヨーロッパ各国の福祉政策の違いについて調べていくと、「交通権」という権利があることが分かりました。
1980年代に提唱されていたもので、「移動に関する権利、交通手段選択の自由、交通に関する情報のアクセス権」など広い意味を持っています。しかし、初耳のこの権利、どうして浸透しなかったのでしょうか?
当時は、国鉄の民営化に対する反対派の思想だと誤解された点もあったようです。現在は2010年にようやく福岡県で議員立法による交通権の条例が制定されました。
今後、超高齢化社会に突入する日本。自立歩行が困難な人も増えるかもしれません。
そういった社会において、道路や交通機関、店舗など様々なところで「使えるけど、不便」というものにたくさん出くわしたことで、車椅子の人の移動の権利を保障する制度や仕組みはあっても不十分だと感じました。
車椅子使用者など、身体にハンディがある人でも健やかに暮らしていける環境を考えていくことが今後の活動だと感じることが出来ました。
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