9月も半ばに差し掛かり、秋めいた季節になってまいりました。
日差しが少し和らいで、秋に向かっているんだなと実感する今日この頃です。
さて。毎月の奨学生のイベントが開催されましたので、ご紹介させていただきます。
先週もお知らせしましたが、東京勤労者医療会の奨学生は人数が多いため、今回は2回に分けて行ないました。後半戦は1年生の多いグループです。先週と同じように、フィールドワークをグループにて発表してもらいました!
1954年3月1日にアメリカが行なった水爆実験により被爆した第五福竜丸。水爆のすさまじさ、「死の灰」と呼ばれたサンゴのかけらが降り注いだことなどに加えて、釣果を「被爆マグロ」として破棄させられてしまったことなどを発表しました。23人の乗組員全員が急性被爆症状を呈し、展示には火傷のようになった乗組員の写真もありました。
展示館に行くだけでは「そうだったんだな~」で終わってしまうところ、まとめをしたことによって(集まってまとめるのがめんどくさかったけど?!)学習が深まったとの声が聞かれました。
班員全員がなかなか集まれなかったA-1班では、1名のみの参加になりました。それでもしっかりと発表に立ってくれました! 人権の学習から学んだ差別問題に触れ、「ハンセン病」や「水俣病」への差別が終わっていないこと、体験したスポーツ「ボッチャ」について紹介してくれました。ボッチャはパラリンピックの正式種目とのことで、これから人気が高まるかもしれません。
今回のフィールドワークで一番遠くまで行ったグループであり、一番過酷(?)だった視察。朝7時に東京を出発し、福島県を視察、夜9時にまた東京へ戻ってくるというツアーです。
テレビなどで見ている映像を実際に目で見たい、という気持ちからツアーに参加してきました。震災からもう6年が経過し、立入も規制されなくなっているにもかかわらず、街には人がいなくて驚いたとのことです。生活が再建されていないことを実感します。震災時に活動をしていた保健師の方は、あまりの多忙で血圧が上昇し大変だったことや、地域のクリーニング店の方の話では地元で商売を続けたいという気概が聞かれました。
今回は2班が国立ハンセン病資料館に行っていますが、先の発表です。「らい菌」に感染することで起こる病気であり、熱い、冷たいといった感覚が失われることがある病気です。治療薬がない時代には手足の変形などの後遺症が出た患者がいたために差別が生まれました。
また患者の隔離政策については、強制的に療養所に入れて出られなくすること、自分の家かららい病患者が出たことを恥じて面会すら稀だったといいます。今では治療法も確立され、完治する病気であるという発表がありました。
ドキュメンタリー映画を見て模造紙にまとめるのは大変だったかと思いますが、細かくまとめてきてくれました。犬や猫などペットは飼い主とともに避難ができたのに、家畜は牛舎に繋がれたまま鎖を解いてやることもできず、餓死してしまったというエピソードは、色々と疑問を感じます。また、被ばくしている牛を殺処分にするのはおかしいと、酪農家の方が自腹を切って牛を世話するというのは本当に大変なことだと思います。
本日2回目の発表ですが、なんと、今回最大? の、模造紙3枚分の大作を携えての発表です。ハンセン病に罹患するとどうなるかという説明から始まり、差別的な「らい病」「業病」と呼ばれていた時代があったことの説明、不治の病とされていたが治る病気だと解ったこと、ハンセン病患者がたどった歴史の説明がありました。後遺症が残った方の外見などから偏見や差別が生まれやすい病気ですが、今や治療も確立されていて感知する病気だということは多くの人が知ってもらいたいことだと思います。
こちらも、2回目の人権プラザへのフィールドワーク発表です。人権とは何か? というという問いかけから始まりました。人間であるという理由だけど保証されるべき権利がそれに当たります。また、差別と区別のちがいの説明がありました。合理的な理由があるのが「区別」。ないのが「差別」。人種や宗教など、違いのある人たちと共存していくにはそれぞれが他者を尊重することが大切だというような発表がありました。
また、妊婦さんと同じくらいの重りをつけて町を歩いてみて「街が誰にでも優しくできているか」という体験もしてきました。5キロ近い赤ちゃんがお腹にいる状態はいつもと違って大変だったとの声が聞かれました。
すべての班の発表が終了しました。皆さん、本当にお疲れ様でした。
教科書に載っているような、歴史から学ぶような場だったり、実際に足を運んで何かを感じたり、体験してみて何かを思ったり……と、人によってさまざまに感じることがあったかと思います。
引率として筆者が数か所に一緒に行かせてもらって思ったことは、「忘れてはいけない」という思いでした。
水爆にせよ、ハンセン病にせよ、知ろうと行動しないと、知ることができない事がたくさんあります。
また、2011年から年月が過ぎるごとに「過去のこと」として、すぎていくようにも思います。いつどこで、自分が差別を受けたり、また人に差別的な発言をしてしまうかどうかも知識や考え方を身に着ける必要があります。
学校での勉強は勿論とても大切ですが、それ以外の何かが少しでも得られれば、という思いで発表を聞かせていただきました。
来年からも、是非フィールドワークで学生さん達と色々な事象に触れていきたいと思います。
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