こんにちは! 看護学生室です。
今年に入って、寒さが強まる日が続いているようです。
場所によっては1月中に積雪があったりと、大変な目に遭った方もいるのではないでしょうか?
寒い日々に負けずに、今年も奨学生活動のご報告をしていきたいと思います!
1月27日、東葛看護専門学校を会場にして第20回看護介護活動交流会(看介研)が行なわれました。
東京勤労者医療会の看護部が主催し、名前の通り看護・介護活動について報告し合い交流をする目的とした学習会です。
年明け第一弾の奨学生活動は、看介研への参加です!
その模様をお届けしたいと思います。
橋場診療所の松井美春師長をお招きし、「無料低額診療事業をとおしてSDHついて考える」
という内容で講演していただきました。
講演タイトルは、耳慣れない言葉も多いかもしれません。
「無料低額診療」とは生活困難者が医療にかかれなくならないように、無料または低額な料金で診療を行う事業のことです。社会福祉法に基づくもので、都道府県知事の認可を得ればこの事業を実施することができる制度です。(東京勤労者医療会でも、無料低額診療事業を実施しています。)
また「SDH」とは、「健康の社会的決定要因(Social Determinants of Health)」といい、人々の健康状態を規定する経済的・社会的条件のことです。
健康とは遺伝子や生活習慣の影響のみならず、個人の所得や経済要因、国の政策や職場など「環境としての社会要因」が強く反映することであり、労働環境や貧困、病気との結びつきについての研究が今世界中で注目を集めています。
それを踏まえて、早速講演に行きましょう!
橋場診療所は台東区にある診療所です。
地域としては、住宅密集地域でもあり、いわゆるドヤ街と言われる山谷・清川地域があり日雇い労働者が多く集う街です。低所得者層の割合が多い地域でもあります。
紹介された事例は、ショッキングな内容のものばかりでした。
保険証を持っておらず、体調が悪くて受診を希望したところワイル病だった患者さん。
資格証明書(国保保険を支払えず、窓口負担は10割の証明書)を持参し自殺企図した患者さん。
中学生が母の容態を報せにとびこんできたこと。
経済的に豊かになってきたとの報道もありますが、そんなことはみじんも感じられない報告ばかりでした。
生活保護受給者を「怠け者」と言わんばかりの世間の風潮がありますが、病気があり定職に就けなかったり、高齢で働けない人々は一体何に頼ればいいのでしょうか? 行政の在り方に疑問を感じずにはいられません。
自己責任論に逃げずに世の中そのものの大元の仕組みをよくしていくため、声を上げ続けることが大切だという内容で締めくくられました。
講演の後、勤医会の奨学生委員長・班長による「奨学生活動の発表」がありました。
日頃の学びの成果、また夏にこのブログでもご紹介したフィールドワークでの学びについて発表してくれました。
夏に行なわれたフィールドワークでの学び、NEFなどの学習企画についての学びの報告です。
会場にも、学生の成長ぶりが伝わり、現場の看護師にも頼もしさが伝わっていたことでしょう。
発表した皆さん、本当にお疲れ様でした。
その後は、各分散会に分かれて学習を行ないます。
5分会に分かれており、地域連携、看護・介護技術の向上、患者の回復力を高めるための支援、退院支援、患者を取り巻く社会情勢のテーマがありました。
学生たちも、熱心に発表を聞いています。
あっちもこっちも参加したいところですが、心に残ったテーマを一つご紹介。
伊豆大島出身で、糖尿病性壊疽により両下肢切断したA氏についてでした。
両足切断という大きな手術を経て、移動方法が大きく異なることとなったA氏。
「足があれば歩けるのになあ」という言葉が本人から出るものの、義足は筋肉減少のため使えず、車いすでの生活を提案することになりました。排泄管理に関わることなどを自宅で生活するためにもリハビリに取り組み、試行錯誤しながら大島のご自宅へ退院されるまでの看護の紹介でした。
看護師とは、医師等との医療チームにおいて決定したことを患者に実施するのみならず、患者の迷いを自己決定に促せる援助を行なう必要があることを知りました。
A氏のように、身体の状態が激変した人はそれを受け入れることができない人もいるかもしれません。患者自らが「自分らしく生きていくことが当然の権利」と思えるように根気強い援助が重要という言葉はとても胸に沁みました。
学習に参加された学生の皆さん、そして主催してくださった皆さん、お疲れ様でした!
今年も、勤医会での奨学生活動をブログで発信したいと思います。
是非ともご愛読よろしくお願いします。
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