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Let's Learn of Life(LLL)が開催されました!

年に一度の学習企画「LLL」

こんにちは! 看護学生室です。

6月に入り、梅雨入りも宣言されましたが、大気が不安定な日々が続いています。
体調など崩さずにお過ごしでしょうか?

今回は、ご報告が遅くなってしまいましたが2019年5月25日に行なわれた「LLL」の様子をお届けします!

勤医会を入れて8つの病院法人に属す看護奨学生が集う学習会です。100人を超える学生が一堂に集う、大きなイベントです。


今年の4月に看護学校に入った学生さんから、卒業間近に控えた学生さんまでたくさん集まります。

まずは定番のアイスブレイクで、リラックス&仲良くなりましょう!
「あたまとりしりとり」で、皆さん頭を使います。
最初は固かった表情もだんだん笑顔になってきました♪

年に一度の学習企画「LLL」

今年のテーマは「災害医療」

今年の学習テーマは「身近に感じよう 災害を Let’s think what can we do」。

2月から発足した学生実行委員会では、今年のテーマ選びから始まりました。

各法人から参考資料として「高齢者に対する虐待問題」、「医療と貧困の問題」、「戦争と看護の関わり」……などなど、様々なテーマが持ち寄られ、その中から学生が学びたいものを選び取っていきます。
ディスカッションをして、「災害医療」に決定しました。


東日本大震災が起きたのが2011年。その頃、看護学生たちはおよそ小学校中学年くらいの年齢。

怖い思いをした、大変なことがあった、という記憶があっても、うっすらとしか残っていないという人がほとんどでした。「現在は看護学生として、将来的に看護師になって、災害時に出来ることは何だろう」というテーマが採られました。

当日の講師には宮城厚生協会 統括看護部長の金萬文雄(こんまん ふみお)さんをお迎えしました。

金萬さんは、東日本大震災時に大きな被害を受けた宮城県塩釜市にある坂総合病院にて看護部長を歴任した方です。


冒頭、いきなり金萬さんから問題が飛び出します。

「今、ここで、大きな地震が来たらどうしますか?」グループごとに話し合います。


学生達は、「机の下に隠れて身を守る」「非常口を確認する」といった意見が出ました。

今年のテーマは「災害医療」

未曽有の災害時の現場は……

「まず、自分の身を自分で守る。それが原則」と、金萬さんの講義が始まります。

坂総合病院は2006年に建て替えをしたばかりでした。その当時すでに、「10年以内に94%以上の確率で巨大地震が起きる」と予測されており、耐震構造の建築はもちろん、定期的に防災訓練を積んでいたということです。

そんな矢先に、マグニチュード9.0という今までに類を見ない地震に襲われました。

想定外の津波に襲われた地域では、ハザードマップも役に立たなかったということでした。

14:46に起きた大震災。そこから、52分後には災害対策本部を設置し、59分後にはトリアージポストが設置されるというスピードで対処しました。トリアージとは、大事故・災害などで同時に多数の患者が出た時に、手当ての緊急度に従って優先順をつけることをいいます。
1日目は予想よりも来院者が少なく、2日目以降に災害関連の疾患(特に重傷者)が目立ってきたということです。
更に、震災当日、東北地方はとても寒い日でした。当日は0.5℃の冷え込み、夜になると雪が降る程。搬送されてくる患者様の症状では、地震による家屋倒壊の被害ではなく凍傷や低体温症の方が多数訪れるという特徴がありました。

 

未曽有の災害時の現場は……

「何もわからない」ことが最大の不安

地域のすべてのライフラインが断たれる中、坂総合病院では約一週間通信が断たれ、電気は3日間停電。連絡手段が断たれることにより、行政からの連絡が一切入ってこない不安にさらされます。


大津波が起きたことも知らずにいたスタッフの皆さん。やっと受信したラジオで流れる「病院から近くの海に死体が沢山浮かんでいる」という報道がにわかに信じられずにいました。

映像が届いてからというものの、「これは大変なことになった」という実感がやっと沸いたという話には、震災被害の只中にいた皆さんの労苦がにじむように思えました。

入院患者様ももちろん、職員も家族の安否がわからない中、病院で過ごす人も多かったと言います。また、お見舞いやデイケア、外来受診に来ていた方々が自宅被害に遭い、帰宅場所がなくなってしまい「病院内の難民」として、集まっていただく場所を急きょ設けるなど、何度も訓練を行なってきていても不測の事態が発生するということがわかりました。

「何もわからない」ことが最大の不安

訓練では見えなかった「震災医療の在り方」

震災発生から2日後以降、避難所を回る医療支援チームを組みました。
体育館などの大きな場所を段ボールで区切っただけの場所では、プライバシーが守られません。
寝たきりのご家族がいる避難者は、オムツ交換すると苦情が出る、などと話してくださったり、実際に見てみると階段などの段差が多く、「自分で歩ける人が前提の避難所」であることが分かります。
実際に、転倒してけがをされる方もいたようです。
また、避難所では心身ともに疲労した被災者の皆さんからはフットケアが大好評でした。

実際に大震災を経験し、急性期よりも慢性期が長く続き、必要度が高いことや、退院先が確保できなくては新たな患者様を受け入れることができないなど、様々な課題点が見つかりました。


また、震災から8年が経過した今も、仮住まいで生活することを余儀なくされている方が17%いること、高い防潮堤を作っても、実際にはその背後に家屋や集落が存在していない地区があるなど、復興予算の無駄使いも聞こえてきます。まだ、震災からの復興が終了したとは言えない現状があります。

現在も、様々な地域で大規模な地震が起こるという予測がされており、いつか自分たちが暮らす街でも巨大地震に遭う可能性があります。そんなとき、私たちに何が出来るでしょうか?


金萬さんからは、「精神的ケアの重要性」が語られました。喪失感、孤独感や不安、絶望などに打ちひしがれた人を癒したのは、会話でした。フットケアに人が喜んだのは、ケアそのものも勿論ですが、他愛ない話をすることで心が軽くなった、という人も多くいたと言います。専門的なケアも必要ですが、医師・看護師がそこまで手が回らない、と言うとき、ボランティアの重要性や、被災された方々に寄り添っていく必要性が話されました。

訓練では見えなかった「震災医療の在り方」

皆で意見交換

グループディスカッションでは、被災後1~3ヶ月の中で看護学生として何が出来るか、またなぜそうしようと思ったのかを話し合います。

学生からは、コミュニケーションやフットケアなら自分たちにもできる、という気づきや、実際に自分たちが被災した時に家族などと連絡が取れるように日頃から備えておくことの大切さが話されました。

他にも、ボランティアや募金活動を通じて被災地を支えることが出来る、という意見も出されました。


また、金萬さんへ「病院で働くスタッフのケアは何が重要か」という質問が出ました。


「緊急時はアドレナリン全開になってしまい、寝食なくても動けたりしてしまう。しかし、緊張状態が続くと、その分心が折れやすい。ボランティアスタッフなどに入ってもらう事によりしっかり休み、患者さんのケアが出来るようにしておくことが重要」
と話されました。

皆で意見交換

いつか来る災害に備えて「私達にできること」

地震大国と言われる日本。いつ、何時どこで巨大な震災が発生するかはわかりません。

つい先日も、新潟県・山形県に津波を伴う地震が起きたばかりです。

災害時には、自分の身を守ることはもちろん、「看護学生として、看護師として」出来ること、そして「人間として」支え合うことの大切さを、今日の講義で教わったように思います。

 

実行委員として活動をつづけた皆さんからは「達成感もあった!」という言葉が聞かれました。

参加した皆さん、お疲れ様でした。今日の学びが今後の学校生活にも活きてくるといいなと思います。

 

いつか来る災害に備えて「私達にできること」

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