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第105回 看護師の「特定行為」って?

東京勤医会 看護部長 大谷 洋子

「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案」が国会審議に入った。医療介護の根本にかかわる内容をろくに審議するつもりがないことは明白である。
見過ごせないのは保助看法の改正案。新設された「特定行為を手順書により行う看護師は、指定研修機関において、研修を受けなければならない。特定行為は診療の補助であって、厚生労働省令で定める」など、重要な改正がさらりと書かれていることだ。

看護師の責任がさらに重くなる

特定行為とは何か? 私たちはこの間、「特定行為に関わる看護師研修制度」対策実行委員会で2013年2月から13回の会議を行い、学習し、署名活動を行い、他職種、医師などと懇談し、厚労省のレクチャーにも参加、国会行動、街頭署名行動など多彩に行動した。
わかったことは、

 

(1)特定行為は医師不足を補うため「医行為」を看護師が行えるようにする。

(2)患者国民への説明責任は特定行為を行う医療機関が持つ。

(3)特定行為(医行為)を看護師が行えると法律に明記されたことから看護師の責任がこれまで以上に問われる、

 

などである。
他職種の方々との懇談では「動脈血採血を研修終了した看護師が行えるってことは、良いことなのでは?」「医師が足りない、地域では医行為が行える看護師は必要だ」などという意見もあり、動脈血採血、呼吸器の設定変更、向精神薬の選択などの医行為を特定行為に置き換える、もう一つの側面について、説明し納得していただく看護師の力量が求められた。

私たちがめざす看護

看護協会は審議入りしたことを歴史的一歩と絶賛、看護師の役割の拡大が地位向上につながり、さらに地域ケアシステムにおいて大きな期待が寄せられているという。私も、役割に対する期待は同感であるが、それほど看護師の地位は貶められているのだろうか?と思う。今回、当法人の奨学金受給申請の推薦面接を行う中で、ある受給希望者は、父親の自宅介護を通じて看護師を目指し、「父は看護師さんが来るのをとても楽しみにしていた」と語った。その看護師の姿から自らの職業選択を決意したと聞き、国民にとって看護師の存在は財産だと実感した。
私たちの看護は「患者さんのすべてを整え、医療の専門性も使い、行政の力も引き出し、粘り強く、あきらめないで、患者さんの願いや、思いの実現を応援する」というものだ。看護10ストーリーズを全日本民医連が編纂した。「雲の上」の家でも待たれているからと、徳島県の訪問看護ステーションが、住み慣れた家で暮らしたいという願いを支えた実践。そのお宅は標高2000メートルに近い四国山地の中だった。この本は、看護師が看護を通じて人間として成長する姿を描いているところが、大きな特徴だという感想を持った。

「わたしたちの物語」を発信しよう!

東京勤医会看護部で発行する「With」が今年で10号になる。1号から1事例ずつ選んでも、10ストーリーになる。「わたしたちの物語」を発信することが、特定行為問題のもうひとつのたたかいになると確信する。

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