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第104回 90歳代が4割のデイサービス

あびこ診療所  師長 原島澄子

ショッピングカーに、菊や菖蒲など、花売り娘のように毎月持って来院する92歳のはなさん(仮名)。診療所と、薬局に庭の花を摘んでやってきます。庭に花や野菜を作っているそうです。介護サービスも使わず、身の回りのことは自分で行っているようですが、少し気になり自宅を訪問してみました。

花を届け、優しさを届けて

 

息子夫婦の家はとなりですが、はなさんは、自分のことは自分で行っています。息子宅とは、インターホンでつながっているので、何かあれば連絡ができ安心です。
一人で暮らしていて、家具も少なくシンプルライフ、合理的でちょっとビックリです。突然の訪問でしたが、家の中もきれいです。見よう見まねで始めた畑仕事だそうで、退職した息子が今年から野菜作りを始めたので教えていると、話していました。
一人でショッピングカーをひきスーパーに買い物に行き、料理を作ります。近所の一人暮らしのお年寄りに、時々煮物を作っては、おすそ分けをして、おしゃべりするのが楽しみとか。介護サービスどころか逆にボランティアをしていました。
はなさんは、私たちに花を届けて、近所の方に優しさを届けて、笑顔と元気を配っています。

お嬢様育ちのなつさんは

あびこ診療所は、JR常磐線の天王台駅前にあります。都心に通う人も多い反面、すぐ近くに、畑もあります。都内で長年生活してきて、千葉県に転居した人も多く、生活は多様です。
95歳のよしさん(仮名)は、訪問診療を受けていますが、「陽気のいい日は庭に出たがり、草取りをしている」と家族が驚いています。昔ながらの手ぬぐいをかぶる姿は、若き日を想像させます。土と草と太陽のにおいが昔を思い出させ、若返るのでしょうか。
91歳のなつさん(仮名)は、上野の駅近くで生まれ育ちました。優しかった夫の話をして、「夫のところへ行きた~い」が口癖です。デイサービスの職員や友達に囲まれて、お嬢様育ちを感じさせます。おしゃべりができなくなった時が、病気の悪化している時。昨年も入院しましたが、退院して自宅生活とデイサービスと通所リハビリに通い、元通り歩行できるようになりました。

90歳代の若さに圧倒される毎日

あびこ診療所に併設するデイサービスは4割が90歳代です。90歳代の若さに圧倒される毎日です。
「この頃○○さん来ていないけど、どうしたかしら」は、事務・看護師・薬剤師の、日常会話。診療所は利用者さんのいつもと違う表情や、言葉、行動を観察しやすい利点があります。地域に根ざす医療機関として、安全安心な医療・看護・介護を職員で目標にしたいと思っている日々です。

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東京勤労者医療会は、東京都・千葉県・埼玉県の3つの病院を中心に、診療所、訪問看護ステーションなどで、急性期から精神・リハビリ・在宅まで、患者さんの療養を支えています。

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