東葛病院の2年後の新病院移転を控え、各ワーキンググループ(WG)の稼動真っ盛りの中、「地域介護事業計画WG」では、“東葛地域介護事業戦略会議”と銘打って、昨年末より事務局を立ち上げ、共同組織とともに在宅関連で構成したメンバーにより介護事業戦略を練っています。“住み慣れた馴染みのところで住み続けられるよう在宅を支援する”ことを基軸に、日頃の活動の中で出合った「困った」出来事や事例を通し、「地域から何を求められているのか」「わたしたちの果たすべき役割は何か」について議論を重ねてきました。
議論の中で出た、困難事例を紹介します。
ALS(筋萎縮性側索硬化症)のAさんの病状は進行し、筋力低下が呼吸筋にまでおよんだため、人工呼吸器を装着しました。また、胃ろうからの栄養管理も行われ、自分では身動きひとつとれません。四肢の痛みが著しく、そのため在宅介護は、Aさんに合った独自の細やかなルールやノウハウにしたがってケアが行われています。安楽で少しでも快適に過ごせるようルールやノウハウに専念し、熟練している夫が一人で介護に当たられていますが、リフレッシュを図るため、時々レスパイト入院を利用しています。
難病患者様向けの制度を利用したレスパイト入院は、県単位で医療機関が指定されています。そのため、普段のかかりつけの医療機関と違うため、在宅の情報が伝達しづらい構造となっています。ALSの方の場合は、思いを伝えることに、とても時間がかかります。連携がすべてといっても過言ではありません。Aさんの場合も細かいケアの伝達が行き届かず、安心して安楽なケアを受けることが難しく、レスパイトであるにもかかわらず本人とご家族はフラストレーションをかかえてしまいます。このような方々を在宅で支えていくためには、法整備やサービス提供のあり方の是正が急がれます。
もう一人の事例は、90代女性のBさん。長年一人暮らしを続けてこられました。心不全の悪化により入院を余儀なくされましたが、入院まもなく“入院生活に馴染めない”と身支度をして自宅へ帰ってしまいました。翌日、動けないほど苦しくなり、たまたま居合わせた福祉関係者が救急要請しようとしましたが、「死んでもいいから家にいたい」と、頑として医療機関への受診を拒みました。何とか医療に繋げたかったのですが、往診の手配もすぐにはつかず、主治医に指示をもらい訪問看護で早急に対応してもらいました。
多くの患者・利用者さんが望まれる「ずっと家で暮らしたい」という思いの実現のために、わたしたちに何ができるでしょうか。冒頭の会議に出てきた事例や出来事から、「こんなサービスがあるといい」について夢いっぱいに検討が繰り広げられています。「通い」「泊まり」「訪問介護」+「訪問看護」を同じ顔ぶれのスタッフが一体的に提供する、医療と介護の連携のもと24時間365日在宅で支える「複合型サービス」を是非やりたい! そんな意見で盛り上がっている今日この頃です。
さらには、目の前の方々だけでなく、地域で埋もれている「困っている人」をいかに発掘していけるか。大きな課題を残しています。
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