厚労省が進める地域包括ケアにおける今年度訪問看護に期待している役割は、
(1)在宅見取りを増やす、
(2)医療依存度の高い在宅医療を増やす、
(3)新生児特定集中室から在宅療養を支える、
(4)精神疾患の療養者を支える、
(5)24時間365日の支援をする、
です。
わかくさ訪問看護ステーションの内容も、厚労省の思惑通りになっている印象です。78件の契約患者さんの内訳は、介護保険利用者が35人で医療保険が43人と、医療保険での訪問看護が増えて半数以上になりました。
その内訳は、難病が16人、精神16人、小児4人、がん3人、人口呼吸器4人。24時間対応の契約者は47人です。指示書発行医療機関は39機関です。介護保険の利用者の入浴介助などは減ってきて、人工呼吸器の管理や小児の自宅での治療のサポート、精神の服薬管理や生活サポートなど訪問看護技術の習得も多岐にわたっています。
また、事業所に帰ってきてからの主治医や相談員、ケアマネージャーやヘルパーへの連絡や調整などの仕事がとても増えています。
地域の先生が往診の帰りに事業所に寄ってカンファレンスを行ったり、指示の内容を確認することもあります。地域の病棟のような存在になっています。
小児の訪問は、とびきり煌めく看護のブーメランが返ってきます。
発達障害、レット症候群、胃食道逆流を繰り返し、入退院を繰り返しているAちゃんの訪問を保健所から依頼されたのは昨年の秋でした。支援学校にもなかなか通学できずに、家族だけでAちゃんの自宅での療養を支えていました。
訪問看護が始まってからも、入退院の繰り返しが続き、通院と入退院を繰り返す生活に家族も疲れていました。そこで、訪問看護から小児の往診医を紹介しました。
入院をせずに自宅での治療が始まりました。点滴治療(抗生剤投与)、酸素、肺ケア、バイパップ、カフアシスト、吸引、モニターをつけての観察、排便調整、清潔ケアなど毎日2回の訪問、休日の訪問、留守番の臨時訪問、主治医との毎回の訪問時の報告と、Aちゃんと家族を支え続けました。
1ヵ月たっても変わらない毎日に、
「いったいいつまでこの訪問続くのか…」
「疲れてきた…」
さすがの看護師も弱音を吐くことが増えてきました。
しかし、2ヵ月ぐらいたって、やっと発熱せずに過ごせるようになりました。
笑顔が出てきて、言葉が出てきました。
先日、支援学校の先生が訪問中に来て、Aちゃんを朝の会に参加させてくれました。スカイプでクラスの子どもたちと久しぶりの再会でした。
「おはようございます」。両手を精一杯広げて、私たちには見せないAちゃんの笑顔がありました。訪問看護のブーメランが返ってきて、私たちに元気をくれました。
Aちゃん、よくがんばったね。
精神の患者さんは家に引きこもりがちになります。天気がいい日は運動をかねて、お話ししながら散歩にでかけます。「ブランコに乗りたい。看護師さんも一緒にやろう」。患者さんに誘われました。ブランコを自分でこぐのは何年ぶりでしょう。
どうやって乗っていたっけ…足を伸ばして…縮めて…患者さんは上手にこいでいます。
私も明日は足が痛くなるのは、言うまでもない…。
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