訪問看護を始めて五年になります。今回S氏の事例から学んだことを報告させて頂きます。
S氏、48歳男性、クモ膜下出血後で栄養は胃ろう、言葉は発せず意志表示は目や顔の表情で判断している寝たきり全介助状態。24時間在宅で奥様お一人で介護されていましたが、S氏が突然夜中にお亡くなりになりました。
常に痰の量が多く、気管切開を勧められていた方なので、亡くなられた原因は痰詰まりによるものと考えられました。夜中に呼吸をしていない夫に気づいた奥様は混乱の中テレビで見た「蘇生術」を思い出し、心臓マッサージと人工呼吸をして訪問看護に連絡、私が訪問しました。
奥様は気管切開した方が良かったのか、もっと早く状態に気づけばと自分自身を責め後悔の言葉を何度も繰り返されました。その時、私は在宅療養中で急変の可能性のある方、その介護者の状態や年齢、性格など考慮した上で、定期訪問の時に「蘇生術」の方法を説明しておけば、混乱や後悔の念を軽減できたのではないかと思いました。
今後、日々の訪問の中で「個別性を見極めた訪問看護師として必要な援助とは」を見直して行きたいと考えています。
看護師 宮代佳子
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